Carl Fontana について


Carl Fontana について・・・・・

カールフォンタナはJAZZ Trombone プレイヤーとして長い経歴をもってはいますが、発表されているアルバムはけっして多くありません。そのため知名度は比較的低いのです。Tromboneを吹いている方でも名前は聞いた事があるが演奏は聴いたことない...という方がいるでしょう。ましてTrombone吹きでなければまず名前も知りません。JAZZ Trombone Player = J.J.Johnson か Curtis Fuller といったところですから。
カールフォンタナの演奏はどのようなスタイルかというと「非常にオーソドックスなスタンダード曲を渋い音色で流れるように歌う」といったところでしょうか。体力勝負の大きな音ではありません。ハイノートをピューピュー出してばかりということもありません。また、先進的な音楽開拓型でもありません。かといって商業的なイージーリスニングMUSICでもありません。アレンジャーとなって稼いでいるわけでもありません。とてもリラックスしたスタンダード曲を演奏するJAZZ Tromboneのお手本のような人です。もしもTromboneを吹いていて、まだカールフォンタナを聴く機会に遭遇していないという方がいらしたらぜひぜひ聴いてみてください。目から鱗が音を立てて剥がれ翌ソ、床には鱗の山ができるはずです。(まあ好みの問題ですけどね)


Carl Fontana --- 1928年から1985年あたりのこと

1928年7月18日Louisiana生まれ。ボードビルバンドマンの父親から音楽の洗礼をうけていたようです。 18歳でルイジアナ州立大学に入り音楽を専攻、1950年卒業。そして1951年Woody Harman BandがNew Orlensにやってきたところへ入団。"Third Herd"の時代です。ここからプロとしてお仕事です。(1952-1953) その後Lionel Hampton (1954),Hal McIntyer(1954-1955),Max Bennett(1955)バンドに少々在団してから、1955年6月、Stan Kenton のCuban Fire Band に入いりました。(1955-1956) ここでの演奏は何枚かのアルバムで聴くことができます。 最近の奏法とは若干異なりますがフォンタナらしさは充分感じ取られます。(あたりまえか)56年の3月から5月にかけて英国、欧州のハードなツアーがあったようです。70公演あったとのことですから相当辛かったことでしょう。 KentonのあとはAl Belletto Sextet、 Kai Winding Four Trombones Groupなどを経てきましたが(1956-1957)、 演奏旅行生活に疲れたらしく 1958年、Al BellettoバンドでラスベガスRoyal Nevada Hotel のお仕事を しているときに「もう旅にでたくない。やだやだ。」とだだをこねてそのまま定住することとあいなったようです。 ラスベガスでは Sammy Davis Jr. 、Tony Bennett 、Wayne Newton 、などのショーバンドで日夜(いや、夜だけだろう)お仕事をしていたらしいです。なかでもPaul Ankaの専属バンドでは1960年代中頃から10年以上にも渡って演っていたとのことです。 居心地がよかったのか、楽だったのかそのあたりのことはわかりません。そう、このPaul Ankaが来日したときフォンタナさんもバンドマンとして日本に来たんです。どこかのJAZZ live spotでJAMしたらしいのです。行けばよかった!!さて、このラスベガス定住時代の録音はというと、 本人のリーダアルバムは1985年の有名な「Great Fontana」までありません。いや、あった。1975年のコンコードJazz Festival におけるHanna-FontanaのLiveもcoリーダーということで録音されてました。これ以外のレコーディングは、 呼ばれたんで出演したという感じです。 でも、この呼ばれた状態での演奏がとてもリラックスしていて逆に素晴らしいものになっていると思えます。


Carl Fontana ----- 1990年代にはいって

1985年9月録音の「Great Fontana 」 (UPTOWN RECORDS UPCD27.28)はカールフォンタナを知るうえでは、必須のアルバムです。 素晴らしいの一言です。しかし、個人的には、このあとの1993年以降の演奏のほうがリラックス度が増して好きです。 仕事ではなく遊び(といっては失礼になるかもしれませんが)に徹して楽しく自由に歌っているのが感じられるからです。 ここまでに築き上げた高度なテクニックによる得意フレーズをそこここにちりばめはするも、決してテクニックの披露 ではなく、とても豊かな表情でフレーズを歌ってくれています。1993年のWOOFY PRODUCTIONから出ているアルバムはどれもこのリラックス感あふれるものばかりです。 いやあ。すばらしいですねえ。詳しくはCDレビューをご覧ください。
1995年以降のリリースCDはだれかとの2管編成クインテット(Bobby Shew、Jiggs Whigham、Arno Marsh、Bill Trujillo、Andy Martin)が主流です。相変わらず気の張らないセッションという雰囲気です。


Carl Fontana ----- 2003年10月9日死去。75歳

しかし、残念なことに2002年に入ってからはアルツハイマー病が進行し演奏活動はできなくなりました。とはいえ、友人らの支援でラスベガスのクラブでのジャムセッションには登場していたようです。(独力では行けなくなってしまったのでだれかに連れていってもらい、組み立てたtromboneを渡すと本能的にすばらしい演奏をしていたそうです。)その後(2002年9月以降)症状が悪化してしまい、もうプレイできない状態となってしまいました。 2003年10月9日、ラスベガスにて死去。75歳でした。


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